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デジタル遺言が現実に!2026年民法改正案が閣議決定、遺言作成の常識が変わる

  • 執筆者の写真: 行政書士しもじ法務事務所 下地博明
    行政書士しもじ法務事務所 下地博明
  • 4月8日
  • 読了時間: 7分

更新日:5月4日

はじめに:遺言のデジタル化、ついに実現へ


2026年4月3日、日本の相続制度に大きな転換点が訪れました。政府が「デジタル遺言」の導入を含む民法改正案を閣議決定したのです。


これまで、遺言書といえば「手書き」が当たり前でした。しかし、これからはパソコンで作成し、法務局に電子データとして保管できる時代がやってきます。


この記事では、行政書士の視点から、デジタル遺言とは何か、どんなメリットがあるのか、そして今後の展望について、わかりやすく解説していきます。デジタル遺言の導入を検討されている皆さんに、ぜひ最後までお読みいただきたい内容です。


デジタル遺言とは?従来の遺言書との違い


従来の遺言書の種類とその課題


日本の民法では、主に3つの遺言方式が認められています。


  1. 自筆証書遺言:遺言者が全文、日付、氏名を自筆で書き、押印する

  2. 公正証書遺言:公証役場で公証人が作成する

  3. 秘密証書遺言:内容を秘密にしたまま、遺言書の存在だけを公証人に証明してもらう


この中で最も多く利用されているのが「自筆証書遺言」ですが、実は大きな課題がありました。


  • 全文を手書きしなければならない(財産目録以外)

  • 高齢者や身体に障害のある方には負担が大きい

  • 字が下手だと恥ずかしいと感じる方も多い

  • 紛失や改ざんのリスクがある


こうした課題を解決するために登場するのが「デジタル遺言」です。


デジタル遺言(保管証書遺言)の特徴


今回閣議決定された民法改正案では、新しい遺言方式として「デジタル遺言(保管証書遺言)」が導入される見込みです。主な特徴は以下の通りです。


  • パソコンでの作成が可能:ワードやテキストエディタで作成できる

  • 電子保管:法務局に電子データとして保管される

  • 改ざん防止:公的機関による保管で安全性が高い

  • 検索・管理が容易:相続人が検索しやすくなる


これにより、遺言書作成のハードルが大きく下がることが期待されています。


デジタル遺言導入の背景:なぜ今なのか?


高齢化社会と相続問題の深刻化


日本は世界でも類を見ない超高齢社会を迎えています。2025年には、65歳以上の高齢者が人口の約30%を占めると言われています。それに伴い、相続に関するトラブルも増加しています。


  • 遺産分割でもめるケース

  • 遺言書がなく、相続人間で争いになるケース

  • 認知症により遺言能力が失われるケース


こうした問題を未然に防ぐためには、元気なうちに遺言書を準備しておくことが重要です。


デジタル化の潮流


政府は「デジタル庁」を設立し、行政手続きのデジタル化を推進してきました。


  • マイナンバーカードの普及

  • 電子署名・電子契約の普及

  • オンライン申請の拡大


こうした流れの中で、遺言書のデジタル化も自然な流れだったと言えます。実際、2025年10月からは「公正証書遺言」のオンライン作成がすでにスタートしています。


デジタル遺言のメリット:誰にとって便利なのか?


1. 高齢者や身体に障害のある方


手書きが困難な方にとって、パソコンでの作成は大きな助けになります。


  • 文字を書く体力が不要

  • 誤字の修正が簡単

  • 読みやすい文字で作成できる


2. 遺言内容を何度も見直したい方


手書きの場合、修正のたびに全文を書き直す必要がありました。デジタル遺言なら、何度でも編集・修正が可能です。


3. 財産が多岐にわたる方


不動産、預貯金、株式、保険…財産が複雑な場合、記載内容も膨大になります。パソコンなら、整理しながら記載できます。


4. 遺言書の存在を確実に伝えたい方


法務局に電子保管されるため、相続人が検索システムで遺言書の存在を確認できます。「遺言書があることを知らなかった」という事態を防げます。


デジタル遺言導入で注意すべきポイント


1. 本人確認の厳格化


電子データでの作成となるため、本人確認の方法が重要になります。


  • 電子署名

  • マイナンバーカード

  • 生体認証


などが活用される見込みです。


2. 遺言能力の確認


デジタルだからといって、遺言能力(意思能力)が不要になるわけではありません。認知症などで判断能力が低下している場合、遺言は無効となる可能性があります。


3. 形式要件の遵守


パソコンで作成できるとはいえ、法律で定められた形式要件は守る必要があります。


  • 日付の記載

  • 本人による作成の証明

  • 法務局への保管申請


4. 専門家のサポートが依然重要


デジタル遺言が導入されても、法的に有効な遺言書を作成するには専門知識が必要です。行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。


すでに始まっている「公正証書遺言のデジタル化」


実は、デジタル遺言に先駆けて、2025年10月から「公正証書遺言のオンライン作成」がすでに始まっています。


オンライン公正証書遺言の特徴


  • ウェブ会議システムの活用:Zoomなどを使って公証人とオンラインで面談

  • 自宅や病院からの作成:公証役場に行く必要がない

  • 電子データでの保管:紛失リスクがゼロ


この制度により、遠方に住む方や、身体的に公証役場への訪問が困難な方でも、安心して遺言書を作成できるようになりました。


デジタル遺言と公正証書遺言、どちらを選ぶべき?


公正証書遺言のメリット


  • 公証人が関与するため、法的に無効になるリスクが低い

  • 相続開始後、家庭裁判所の検認が不要

  • 証人が立ち会うため、信頼性が高い


デジタル遺言(保管証書遺言)のメリット


  • 費用が安い(公証人手数料が不要)

  • 手続きが簡単

  • 自分一人で作成できる


どちらを選ぶべきか?


一般的には、以下のように考えると良いでしょう。


  • 財産が複雑、相続人間でトラブルが予想される → 公正証書遺言

  • シンプルな財産、費用を抑えたい → デジタル遺言(保管証書遺言)


ただし、どちらの場合も、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。


今後のスケジュール:いつから使えるようになる?


今回の閣議決定は、あくまで政府の方針が固まったという段階です。


今後の流れ


  1. 国会への法案提出(2026年春〜夏ごろ)

  2. 国会での審議(数ヶ月〜1年程度)

  3. 法案可決・成立

  4. 施行準備期間(システム構築など)

  5. 正式施行(早ければ2027年〜2028年ごろ)


具体的な施行時期は未定ですが、政府は早期の実現を目指しています。


遺言書を作成する際の基本ポイント


デジタル遺言が導入されるまでの間も、遺言書は作成できます。ここでは、遺言書作成の基本ポイントをお伝えします。


1. 遺言書に書くべき内容


  • 財産の分け方:誰に、何を、どれだけ相続させるか

  • 遺言執行者の指定:遺言内容を実現する人

  • 付言事項:家族へのメッセージ(法的効力はないが重要)


2. 遺留分への配慮


法定相続人には「遺留分」という最低限の取り分が保障されています。遺留分を無視した遺言は、後々トラブルの原因になります。


3. 定期的な見直し


人生の状況は変わります。


  • 結婚・離婚

  • 子どもの誕生

  • 財産の増減

  • 相続人との関係の変化


こうした変化に合わせて、遺言書も見直しましょう。


行政書士ができること:遺言書作成をサポート


私たち行政書士は、遺言書作成の専門家です。


行政書士のサポート内容


  • 遺言書の文案作成

  • 法的に有効な形式のチェック

  • 相続人調査・財産調査

  • 遺言執行者への就任

  • 公証役場との連絡調整


特に、デジタル遺言が導入された際には、新しい制度に対応した適切なサポートを提供できます。


まとめ:デジタル遺言時代に備えよう


2026年4月3日、デジタル遺言の導入を含む民法改正案が閣議決定されました。これは、日本の相続制度における大きな一歩です。


デジタル遺言の導入により、


  • 遺言書作成のハードルが下がる

  • より多くの人が遺言を残せるようになる

  • 相続トラブルの減少が期待できる


一方で、


  • 本人確認や形式要件など、注意すべき点もある

  • 専門家のサポートは依然として重要


デジタル遺言が正式に施行されるまでには、まだ時間がかかります。でも、遺言書を作ろうと思い立った今が、一番のタイミングです。


現在でも、自筆証書遺言や公正証書遺言は作成できます。ぜひ、この機会にご自身の相続について考えてみてください。そして、不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。


大切な家族のために、想いを形に残しましょう。


▼参考記事

 
 
 

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